EL板によるフラット撮影


 フラット画像は当初、夕暮れ時や夜明け前の薄明時にスカイフラットを撮っていました。しかし、最適な空の明るさは30分ほどしかなく、冷却CCDカメラの画像ダウンロード時間が長いこともあり、一度に3セット(1セット10枚)のフラットを撮るのがやっとでした。しかも、天候が良くないとフラットが撮れず、せっかくライト画像を撮ったのになかなか画像処理ができないということが多くありました。そこで、ELシートを利用したフラット撮影に切り替えました。


これを実現するのに、ELシートなるものをどうやって手に入れて良いかわからず、西脇の三木さんにいろいろ教えていただきました。ELシートは、京都のルミテクノという会社が製造販売しています。大きさや体裁も自由で、こちらの希望どおりのものを作ってくれました。



ソフトウェアーによる自動撮影


 僕が工夫したのは、これを自動撮影システムに組み込んだことです。望遠鏡のホームポジションの位置にEL板を設置し、その晩に撮った画像のライトフレームをすぐに自動撮影します。これで、フラット撮影するのに天候を気にする必要がなくなりました。

 フラットには3つのパラメータがあります。フィルターの種類、ローテーターの回転角、フォーカスポジションです。この3つを認識して自動的にフラット撮影のプランファイルを作り、自動でフラットを撮影、フラット画像のキャリブレーション、コンポジットを行いフラットファイルを作成してくれます。

 またすぐにフラットを撮るので、フィルター上のゴミの位置が変化して失敗することがありません。このシステムのおかげでフラットライブラリーという考えを捨てました。毎回、フラットを撮り、フラットファイルは常に上書きされ、最新のものに置き換わります。



完全なフラットとなりえるか


 Yesです。ただ、他のフラット手法でもそうですが、「ライト画像の背景に明るさの傾斜がなければ...」という条件がつきます。ここ星居天文台は光害の影響がほぼないので、完全な補正が出来ていますが、月などが出たときには、補正が出来ません。暗い空は大切です。

また、私の望遠鏡がトラス構造の為、外光に弱く、満月の時はドーム内も明るくなるためにフラット補正がうまくいかなくなります。

<フラット板本体>

EL板の上に薄い白紙を載せそれを黒いプラスチックの板でカバーしてあります。これらの加工は、ルミテクノさんでしてもらいました。

このように望遠鏡のホームポジション位置にあわせて配置してあります。ドームのレールカバーがフラット板を引っかけるのにちょうどよい役目を果たしています。

<フラット画像>

現在AO-L+MOAGを使用しているので、下部にこのようなオフアキシス装置のインナーミラーの影がでています。

  1. 箇条書き項目ルミテクノ http://www.el-sheet.jp