Tips

 
 

AstroArts、ステライメージ

L画像は、ここで2つのタイプに分かれます。


L_DDP_Mbs:   標準的なシャープネス処理で、ある程度のSNを保つもの


  1. シャープフィルターには、マルチバンドシャープを良く使います。周波数の長いバンドはコントラストが上がるだけなので、使いません。1とか2ピクセル値を強度2〜4程度で使っています。

  2.          

L_DDP_RL_Mbs: 画像復元処理を行ったもの(L_DDP_Mbs_RLの場合もあり)


  1. 明るい部分のみに着目して画像復元処理(リチャードソンルーシー法)を行います。いろいろなソフトの画像復元を試しましたが、AstroArtsを使っています。画像復元のルーチンをアセンブラでチューンナップしているようで、今のところこのソフトが一番処理が速く、試行錯誤がやりやすいです。その後、ステライメージでマルチバンドシャープを行います。

  2. また、論理的ではありませんが、マルチバンドシャープを行った後に画像復元処理を行う場合もあります。この順番の方が、効果が大きいです。画像復元をすると、ノイズにも効果がかかり、バックグランドに特有のノイズが現れますが、後処理でどうにかなりますので、ここでは考慮しません。

輝度(L)画像の画像復元とマルチバンドシャープ

【Target】_L_DDP_Mbs.fts

<Tips>

ノイズ付加によるバックグランド傾斜軽減手法


 最近、見つけた新しいノイズの利用方法も記しておきます。

バックグランドのカラーの背景傾斜は、完全に取り除くのがとても難しいものです。通常は、フォトショップ等でマスクを使って補正しますが、ノイズを付加することによって、この傾斜を軽減させることが出来ます。フォトショップの、「 フィルター → ノイズ → ノイズを加える → 均等に分布 」を選び最適なパーセントを設定してください。私の場合は、2%〜5%程度かけています。


 ただし、これは印刷用途に適している手法です。印刷することによって、解像度(dpi)があがり、後から付加した1ピクセルのノイズが気にならなくなり、カラー傾斜のみが目立ちにくくなるというわけです。



<RGBオリジナル画像>


この画像にノイズを付加すると、以下のように目立たなくなります。



<フォトショップでノイズを付加した画像>


この例では均一にかけてありますが、明るい部分にもノイズがのり、汚くなる場合もあります。その場合は輝度マスクを使い、暗部のみにこの効果をかければ、より効果的かと思います。

 

  Fts2Tif

 ここまでは天体画像専用ソフトだったので、画像フォーマットはFTSでしたが、これ以降はフォトショップ等の一般のソフトウェアーで処理を行います。そこで、FTSをTIFF(16ビット)に変換します。FTSは画像値を浮動小数点で保持していますが、TIFFは16ビットのダイナミックレンジしかもちません。変換するFTS画像のダイナミックレンジをなるべく生かした状態でストレッチしないと、オーバーフローや、欠損が生じます。その作業を手作業で行うことも出来ますが、非常に面倒臭いのと間違いが生じることもあります。また、変換する枚数も多いので、私は、オリジナルソフトウェアーを開発し、それを使っています。



 *ダウンロードページにて、ダウンロード出来ます。


 やっていることは単純で、FTS画像の最小、最大値を得て、その前後に設定した余白(100ADU程度前後)を作りストレッチし、16ビットのTIFFとして出力します。16ビットのレンジ幅をなるべく有効に使うことが出来るので、後の画像処理に対して、非常に耐性の高い画像が得られます(レベル調整や、トーン調整などを繰り返しても、トーンジャンプなどが少ないという意味)。

 ダウンロードのページにも書きましたが、中味は非常に単純でして、MaxImDLをCOMインターフェースを使って操作しているだけです。しかし、ドラッグアンドドロップで、簡単に変換できるので、非常に便利に感じています。


  1. フォトショップにプラグイン(Fitsリブレーター等)を加えると、FTSファイルを直に読むことが出来ますが、ストレッチまでは行ってくれず、フォトショップでレベル調整ウィンドウを開くと、画像ヒストグラムのスケールが大きく、細かな設定がうまく出来ません。フォトショップが浮動小数点のピクセル値を扱えるようにならない限り、最適なストレッチを行ってから、フォトショップに渡すことは必須だと思います。

 

後処理に渡すためのTIFF変換

【Target】*.tiff

  NeatImage

 ノイズ低減には、NeatImageを使っています。しかし、あくまでSNが不十分な場合だけで、なるべく使わないようにしています。ノイズ軽減アルゴリズムは、細かなノイズを消すかわりに、大きなノイズを作ります。以下にRGB画像に対して、NeatImageを使ったものと使わない画像を示します。違いがわかりやすいように、彩度を強調してあります。ノイズ低減処理によって、細かなノイズは消えていますが、ベタの領域が大きくなってムラが残っているのがわかると思います。



<RGBオリジナル画像>



<RGB-NeatImageによりノイズを低減した画像>


 これは、輝度画像に対しても同じで、やり過ぎると星雲など明確なディティールを持たない部分が変化してしまいます。極端に強い低減を行なわないことが大切です。

 

ノイズ低減処理

【Target】_L_DDP_RL_Mbs.fts

【Target】_L_DDP.fts

【Target】*.fts

【Target】*.tiff

 

100% size

100% size

【Target】*_filterd.tiff