球状星団とは、文字通り恒星が球状に集まった星団です。

このM13はその中でも特に規模の大きな物で、北半球では最大のもの。数十万個の星が含まれていると言われています。


この画像をみてもその星の数の異常さがわかると思いますが、なぜ、こんなに星が密集しているのでしょう。


銀河系が出来た直後、ガス密度が高い状態で一斉に星が生まれ、それが球状星団になったという説が有力なようです。この時いきなり球状星団になったわけではありません。星が密集して生まれただけで、もっと混沌としていました。まずそこに回転運動が生まれ、重い星は回転スピードが遅く、軽い星は速く回転します。すると重い星は星団中心の引力にまけて中心に向かって落ち込み、軽い星は外側に遠ざかっていきます。この結果、中心部の星密度が高まっていきます。

一方、軽い星の方は、ある程度離れたところで遠心力が勝り、星団から離れていきます。その時、星団の回転エネルギーをもぎ取ってブレーキをかけます。その結果、回転運動がなくなり、星々は、球形に分布するようになったそうです。


ほぼ同時期に出来た星々ですが、微妙な質量の差によって進化のスピードに差が生じます。

青く見えているのが主系列星、赤く見えているのが赤色巨星。赤く見えている星の方がわずかに重く、青い星より、少し早く年老いています。生まれは一緒でも、こういう差がつくって面白いですね。


もし、この星団の中の恒星に大気がある惑星が巡っているとしたら、その惑星から見た光景はどんなものでしょうか。計算によれば、金星のような明るさでかがやく星々が何千個も満天に満ちるそうです。今地球上で夜空を肉眼で見た場合、地平線の上には4300個程度の星が見えるので、ちょうどそのくらいの数でしょうか。これらの星、全てが金星と同じ光度で輝くとしたら...星明かりなどという生やさしい明るさではないでしょうね。だから、その星々の隙間から遠くを見ることはとても難しいでしょう。


この天体M13は、SETI(地球外生命体探査)が行われたことでも有名です。

1974年にプエルトリコのアレシボ電波望遠鏡からM13に向けてメッセージ(電波)が送信されました。 アレシボ天文台は、映画「コンタクト」にも登場したこともあるのでご存じの方も多いでしょう。山の地形を利用して作られた305mの巨大な電波望遠鏡です。 まあ、これだけの数の恒星があるのだから、確かに生命の居る確率も高くなるでしょう。実際、2003年には他の球状星団(さそり座の球状星団M4)に惑星が発見されました。


しかし、もし生命がこのメッセージを受け取ったとしても、返事がくるのは5万年後。気の遠くなる話しですね。

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