世の中、その形が何か他のものに見えるってことは、ままあります。
しかし、これほどまでにうまくできている造形があるでしょうか。しかも一流の芸術家が、形どったようなシルエットです。まさに、奇跡としかいいようがない。これも後何千年かすれば、全く別の形になってしまうでしょうから、私たちは、この瞬間に巡り会えた事に感謝しなければなりません。
馬頭星雲は、赤い星雲の手前にある暗黒星雲のシルエットですが、その左下には、7.6等の青い星がその星雲の中に埋もれて光を放っています。ちょうど雲の隙間から月を見ているような光景ですね。
しかしなんとまあ、複雑な空間なんだろう。
2年前と同じ素材を使ってどこまでクオリティがアップできるかが、今回の挑戦でした。
以前は、左右2枚の画像を仕上げて最後にモザイクしました。しかし今回は、初めにMaxImDLを使い、L画像とRGB画像それぞれをモザイクしてから通常通りの作業を行いました。MaxImDLのモザイク合成の精度は高いようで、L画像とRGB画像で位置がずれる問題はまったく起きませんでした。別々に処理して最後に合わせるよりも、この方が常に仕上がり状態を見ながら作業できるので良い方法だと思います。
2年前は、Ha画像をR画像にまぜで使っていたのと、トーンカーブでわざと赤を強めに出していたので、全体に色数の少ない、まっかな画像になっていました。今回の新処理画像は、最近の処理方法をとり、カラー画像はRGBから作っています。ですので、かなり豊富な色が出たと思います。暗部も出ているおかげで、下部の暗黒帯のディティールも表現出来ました。
馬頭のシルエットの頭の上にある、白っぽいガスですが、これはHaをL画像に混ぜることによって薄くなってしまいました。RGB画像だけの場合は、もっとこの部分のディティールが出ていたので残念です。Haを使うと確かに解像度を上げることは出来ますが、Ha輝線以外で光っているディティールが弱くなります。そのあたりを意識して使う必要があると思いました。
参考までに...「雲間から覗く月」