1054年、今から1000年近くもまえに、超新星爆発をおこした星の残骸がこうして今も尚、広がり続けています。その中心には、爆発を起こした星が中性子星として残り、1秒間に30回も回転し電波を出しています。いわゆる「かにパルサー」ですね。パルサーというタイプの星が発見された時は、地球外生命からの信号ではないかと疑われたそうです。さもありなん。そんな規則正しい信号を出すなんて、知的生命が作ったものと考えるのが自然です。

  1. 箇条書き項目AO-Lの導入後初めて撮った作品です。AO-L導入前は、ルーシーリチャードソン方などの画像復元処理でやっと見えていたフィラメント状の構造が、なにもせずに確認出来ました。周辺部の暗い構造を見せるためには、相当の画像SNが必要で、そのあたりのバランスに苦労しました。以前ならSNを上げるためには、撮影枚数を増やすしか手がありませんでしたが、最近はPhotoShopCS3をはじめ、さまざまなノイズ軽減ソフトがあり、非常に助かっています。

  2. 箇条書き項目シーイングを監視し、最良の日に撮った20枚ほどのHa画像から最良の6枚を選び輝度画像としました。

  3. 箇条書き項目星雲の変化を示すモーフィング動画は、WinMorphというフリーソフトで作成しました。 このソフトを使う前に、画像の位置を合わせておく必要があります。 フリーソフトですが、プロが仕事でも使える品質があります。2枚の画像があれば、その間の変化を補間させ、動画を作ることが出来ます。マニュアルも完備しているので、すぐに使い方がわかると思います。日本語での使用方法を説明したページもありますので、参考にしてください。
    この技法は、いろいろな応用が出来ると思います。ぜひチャレンジしてみてください。

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上のアップの写真をみてください。中心付近に2つの明るめの星が見えます。
そのうちの下側が超新星爆発をおこした星の残骸、中性子星です。星の爆発は必ずコアを残します。星の質量によって、コアを形成するものと、それを支える力が変化します。この星は重い星だったため、こうして中性子で構成された非常に密度の高い、重い核が残っています。1立方センチあたり10億トンという密度です。もう少し質量があったらブラックホールになっていたかもしれません。


フィラメント状の赤や黄色になっているのが、爆発した星の残骸。中性子星からの紫外線で電離して光っています。吹き飛んだ物質の違いによって発光する色が違います。広がっていく外側にグリーン、内側が赤くなっています。はくちょう座のNGC6992・網状星雲も、超新星爆発の残骸と言われていますが、そこにもこのグリーンと赤色が認められます。同じ原理で出来た物には共通点があるということですね。赤は水素、緑は酸素でしょうか。 


それらとは質の違う白い霧のようなものが中心付近から広がっています。
これは紫外線で光っているなどという生やさしいものではないようです。強い磁場を持ったエリアに、中性子星から放たれた、光りに近いスピードの電子が飛び込むと、シンクロトロン放射という現象が起こり、放射光を発生させるのだそうです。高速に移動する電子が磁場により軌道を曲げられ、電子の運動エネルギーの一部が光り(電磁波)となる現象です。非常に強い指向性を持つ光りで、地上でもシンクロトロン装置によりその光りを発生させることが出来ます。


さて、これらの残骸が今も時速480万kmのスピード(1秒間に約1300km!)で遠ざかっているというから驚きます。計算してみると、1年で0.07秒角変化します。その変化をとらえることは出来ないでしょうか? 
上のアップ画像は1ピクセルが0.64秒角なので、1年では1ピクセルの10分の1しか変化しません。つまり、まったく認識できません。10年で1ピクセルしか変化しない計算になり、10ピクセルの移動には100年かかる! まして、膨張のスピードはどんどん遅くなるだろうから、 10ピクセルを待っていたら、死ぬまでに変化を捕らえた撮影は出来そうにないですね。ということで、3ピクセル位が適切かな?(笑)。

下右のムービーを再生してみてください。左側の黄色い枠の位置を撮影したもので、1988年にキットピーク天文台で撮られた画像と、2005年にスバル望遠鏡で撮られた画像からモーフィング動画を作成してみました。わずか18年の間ですが、かなりの変化を見ることが出来ます。


上で計算したよりも、かなり速い変化が起きています。この場所は特に変化が激しいのでしょうか? それとも、時速480万キロという数字、もしくは、カニ星雲までの距離に誤差があるのかもしれません。

  1. (元画像提供:Fesen & Staker、すばる望遠鏡、国立天文台)

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