いつもより、少しまったりとした画像になっていると思います。
通常は、画像復元を行った後に、もう一段シャープネス処理を行うのですが、今回は行っていません。というのはシャープネス処理を行うと、画像復元による「偽(にせ)パターン」が現れてきたためです。常に同じ処理を行うのではなく、元画像の質によっては、ある段階で処理をストップすることも大切だと思います。
かなりの枚数を撮影したのですが(L:10枚 R:10枚 G:10枚 B:9枚)、悪条件の日が続きました。
南中高度も低いため、良い条件で撮影出来る時間も限られています。その結果、ほとんどの画像は薄雲を通しての撮影となり、ガイドエラーが多発、フラット補正が決まらないという状態から作業はスタートしました。おそらく星居Webギャラリーの中で一番処理に時間がかかった作品になったと思います。
2.良画像の選択
いままで良画像は、CCDInspectorを使って、FWHM、Aspect値などから数字で判断していました。しかし、今回は撮影条件も悪く、全てが悪い画像。その中から良いものを選ぶのはやはり人の目しかありません。よって、MaxImDLに全ての読み込み、一枚ずつ選択を行いました。
4.星周囲の色にじみ
RGBそれぞれで星の大きさが違うので、どうしても星像の周りにハローが現れます。これはある程度許容出来るものですが、しかしそのハローが「いびつ」になっていたら、もう目もあてられません。
そこで、沢山の画像から一番良い星像のものを選び、輝星のみ置き換えるという処理を行いました。
まだ、ガイドラーが完全にはとりきれていません。おそらくコンポジット前の画像に対して、最適なガイド流れ補正処理を行い、その後コンポジットする必要があるのだと思います。しかし、それは人が手動で行うにはあまりにも作業が膨大すぎます。MaxImDLやCCDStackに、ガイドエラー補正ルーチンを組み込む必要があるでしょう。しかしそれを自動でやるのは難しいだろうな〜。まあ、初めから良画像が取得出来ればなんの問題もないのですが...
激しい銀河同志の衝突。
2つに伸びるガスの腕。一見すると、2つの銀河の動いた軌跡のように見えますが、実はこれ、2つの銀河が衝突した後に、その勢いではじき出されたそれぞれの銀河の内容物です。この腕が昆虫の触角のようにみえることから、触覚銀河とも呼ばれています。
2つの銀河の本体の間には、お互いの重力により、各銀河内の物質が引きずり出され、暗黒星雲が架け橋のように2つの銀河を繋いでいます。これだけ盛大に内容物がかき回された銀河では、星間物質が圧縮され、次々に星が生み出されているのでしょう。もう、一目見ただけでも、ただ事ではないことがわかりますね。密集したHa領域と、そこで生まれたのであろう若い青い星々。立派なスターバースト銀河です。
面白いのは、この2つの銀河の様子がまったく違うこと。NHC4039の方は、生まれたばかりの青い星で満たされているのに、NGC4038の方は、ほとんど星が見えません。2つの銀河の衝突による巨大な力がこうした瞬間をたまたま作っているのでしょう。 橋渡しをしている暗黒帯の中で生まれた星が、次々にNGC4039に流れ込んでいるようにみえます。宇宙の時間スケールから見ると、2つの水滴が衝突した瞬間に見せるのと同じような、一瞬の形状なのでしょうね。
後、10億年もすると、完全に合体が終了し、ごく普通の銀河の姿になると予想されています。