この銀河、「ホッケースティックギャラクシー」と呼ばれているようですが、私は個人的に「Nike(ナイキ)銀河」と呼んでいます。妻に見せたら「フェザーギャラクシー」だと言っていました...なるほど。そういわれればHONDAのウィングマークそっくりですね。まあ、とにかく特異な形をした銀河です。


この銀河は1つの銀河ではなく、2つの銀河から出来てきます。左下にある星の塊部分がNGC4657。右側がNGC4656です。この2つの銀河が衝突した結果、このような形になったものと思われます。




右側を形成するNGC4656には、銀河のコアらしきものが確認出来ます。ブルーグリーンの星雲のあるあたりがコアだと思われます。そのコアから右側がとても特徴的な形をしていますね。左下に向かって強い流れを感じる形状です。そしてその流れを取り囲むように竜巻状の数本の帯が渦巻いているのが解ります。また、左下には、淡い星雲(星団かもしれません)を見ることが出来ます。 以上のことから想像すると...


NGC4656に対して、NGC4657が右上から左下に向けて、突っ込んだのではないでしょうか。しかも、わずかに回転が加わり(進行方向左回転)、竜巻状の形態が生まれたのだと思います。NGC4656のコアが現在も残っていることから、コアから離れたところを通り過ぎたのでしょう。そして突っ込んできたNGC4657は、そのまま突き抜けようとしたのですが、その主な部分は、NGC4656の重力に捉えられ、現在の位置に納まった。しかし軽い質量の星や星間ガスは外部まで飛ばされて、左下の星雲が出来たのでは? よって、この銀河は今も尚、ものすごいスピードで形状の変化が続いているのではないでしょうか。






上のアップ画像を見てください。星が星間ガスを引きずったような、細い筋状の構造がいたるところに見えています。これはなんでしょう? 私の画像処理の途中で現れた偽パターンでしょうか? いえ、ちゃんと元画像にも同じパターンが見えています。


私には、銀河の衝突で、内部の星がものすごいスピードで動き回った跡のように見えます。地上で爆発が起こった時に、爆発の破片が、煙を引きづりながら飛び散りますよね。ちょうどそんな感じで、星々が星間ガスを引きずって、今まさに四散しようとしているように見えます。


何年か何十年か、観測を続ければその変化を見ることができるでしょうか?

いいえ、この銀河までの距離を2200万光年とすると、このアップの画像での1ピクセルは4095光年になり、人間の命のスケールだとその移動量を眼視で確認することはまったくできません。

 
more large sizeNGC4656_files/%40NGC4656-100X-Tuned-50X.jpg
  1. 箇条書き項目通常はある程度出来上がった時点で50%の縮小をかけ、その後、その画像に対してシャープフィルターをかけて解像度感をあげるのですが、今回は、元画像のシーイングが良かったので、オリジナル解像度のままシャープ処理を行い、そこで作品として完成としました。これによって、あまり画像がギラギラせず、すこし柔らかい感じになったかなと思います。アップの画像がオリジナル100%スケールの画像です。「more large size」ボタンを見られる画像は、50%の縮小バージョンです。

  2. 箇条書き項目RGB合成が終わった画像に対して、色相を+7度位シフトするようにしています。星雲などは、これで思った色が出るのですが、どうもこの銀河はそのようにすると少し紫に転んでしまい、気に入った色になりません。そこで今回はこの戒律をやぶり、色相のシフト無しで処理しました。科学的根拠の無い話しで恐縮ですが、観賞用画像に関しては多少、作者の好みが出てもよいのではないかと思っています。

  3. 箇条書き項目この画像もわずかにガイドエラーが起きていて、星が縦方向に伸びてしまっています。しかし、やっと原因がわかりました。架台のガイドスピード調整用のボリュームがずれていました。それを直したら、このようなエラー画像は現れなくなりました。AO−Lのバンプパラメーターとのマッチングが良くなかったということだと思います。とにかくこれですっきりしました。