棒状のコアと深い回転角の腕を持つ銀河です。

腕の外縁はかなり淡く、遠くまで広がっています。


銀河までの距離は、その内部に含まれる変光星や超新星などによって類推されるので誤差を含みます。この銀河も4000±600万光年と言われています。3400〜4600万光年ということになりますが、どちらにせよかなり遠方にある銀河です。私のギャラリーで言うとM104や、NGC7331がそれに近い距離にあります。


そういう科学的な観測によらなくても、「これは小さな銀河だ」とか「これは大きな銀河だ」とかは、見た目で大体わかります。なんというか、銀河を構成するパーツ、つまり、星雲や、暗黒星雲の形状やら、腕のパターン、球状星団の大きさなんかは、どんな大きな銀河であっても同じだと思うからです。人はそれらのパターンを自然に判断して大きさと距離を想像する術を持っています。すごいパターン認識能力だと思います。そういう見方で、この銀河を見てみると、なるほど、大きそうな銀河ですよね。それがこの視野の中に収まっているんですから、やはり遠方にあるということになります。


銀河の中の恒星は超新星を除いて、そのひとつひとつを見分けることは出来ません。

ということは、この画像に写っている恒星は、すべて手前にあるものだと言えます。私たちの銀河の中にある恒星の隙間を通して見ているわけで、それらとこのNGC4725との間には、膨大な空間が存在していることになります。そして背後には、沢山の遠方の銀河。明らかに銀河の形状をしているものはもとより、 ボケ気味の星もすべて銀河だと思われます。それこそ数億光年もの遠方でしょう。


そんな距離感を想像しながら、画像を見ると、立体感というか、奥行きが感じられて面白いですね。

  1. 箇条書き項目画像処理の手法をいろいろと試行錯誤していた為に、作品公開が遅れました。
    天体写真は、「色彩表現」と「形状表現」に大別出来ると思います。そしてさらに「SN」という要素が加わります。色彩はより豊かに、形状はよりシャープに、なめらかなSNで。というのが、基本的な考え方だと思います。しかし、天体写真に写るものは、多種多様、星雲は形を持っていますが、恒星は大きさを持ちません。つまり形状を持たない純粋な光の回折像(?)です。画像をシャープにする為に、画像全体に対して、気軽にアンシャープマスクを使ってしまいますが、こういう考えからすると、それは大きな間違いだといえるかもしれません。そこで以下のような処理方法を考えました。

    (1)恒星は、撮影後にDDPをかけるだけにとどめ、アンシャープマスク処理を行わない。DDPを行う際にも、強調処理を行わない。恒星像は、撮ったそのままが一番美しい。また星像を第一にしてレンジを決めるので、星像が小さく出来る。

    (2)銀河、星雲部分には、アンシャープマスクを使う。さらに輝度が高くSNが良い部分には、画像復元処理(リチャードソンルーシー法など)を行い、これをブレンドする。

    この2つを、マスクを使って、フォトショップ上で上手に合成してあげる。特に銀河の中の星の輪郭に注目してください。ここにも微妙にボケを残しました。

    そのようにして出来上がったのがこの作品です。星が「ギンギン」にならず、しっとりして自然になったと思います。
    ちょっと地味な仕上げかもしれませんが、自分的にはロジックも含めて、非常にすっきりした良いものが出来ました。
    今後の作品へのマイルストーンになったということで、ギャラリーインデックスのこの作品には、星マーク
    を付けました。
 
more large sizeNGC4725_files/%40NGC4725-50X.jpg

<新しい処理>

<以前の処理>

NGC4712

PGC86434