夜空にただよう雲のように...暗闇の中にとけ込む星雲。
この中心の星がなかったら、この分子雲には気づかないでしょう。
この恒星は、この暗黒星雲から生まれ出たものでしょうか、それともただ通り過ぎようとしている星なのかもしれません。どちらにせよ、この星からの光をガスが反射(散乱)させて青く見えています。中心星のスペクトルはB型なので、元々青白い光を放っていますが、レイリー散乱の効果も手伝っているのかもしれません。
B型スペクトルの星は青色巨星ですから、はげしい核融合で短い一生を終えます。それだけ強い恒星風が吹き出し、周りのガスに影響を与えているのがわかります。ところどころでガスが赤く光り出しています。ガスが電離し、ヘリウムの輝線で赤く光り始めているのでしょう。
圧力がかかることによって、ガスは圧縮され、やがてこの中から新しい恒星が誕生するかもしれません。 ところどころにグロビュールっぽいものも見えていますね。
また、この青色巨星の質量が充分に大きければ、ウォルフ・ライエ星となって、この星雲をすばらしく派手な領域に変える可能性もあります。
この星の南(視野の下側)には、不思議なガスの相似形があります。
濃いかたまりのガスと、ほぼ同じ形をした淡いガスが存在しています。この相似はなぜおきたのでしょうか? 偶然とは思えないのですが...
一番下側にある濃いガスのかたまりが、ある日突然すごいスピードで下に動き出した。急に動いたので、表層のガスがその場に残った...ようにも見えますが、真相はまったくわかりません。そんな動きをするハズないですからね...謎です。
B.「中間の明るさの星雲エリア」
これには、シーイングの良かったシャープなL画像を6枚使いました。
レンジは、暗部はでなくてもよいので、広く(1000ADU位)とります。これでSNが稼げます。そしてDDPの後にマルチバンドシャープなどのシャープ系フィルターをかけます。これも、NeatImageでSNの改善を行います。
その後、色調を強調しますが、輝度の高い部分ほど大きく色彩強調がかかるようにしています。暗部に色が激しくついているのは自然でないことと、SN的に厳しいためです。
もう少し視野を広げると、何かが星の光を遮って、影を落としているように見える場所があります。上下方向にだけ光りが漏れています。恒星の近辺に光を通さない高密度のチリがあるのでしょうか? もしかしたら原始惑星系円盤かもしれません。どちらにせよ、暗黒星雲の中に星があるのは間違いありません。
❖この光芒は、近くにある星の影響です。たった6.8等の星ですが、
この画像の明るさのレベルではこのように大きな影響を与えてしまいます。