SOCで出来ること
SDBで作成したターゲットデータベースを参照し、ターゲットを選択するだけで自動撮影を行ってくれます。薄明終了時間を考慮してくれるので、昼の間に計画をたてて、プログラムをスタートさせておけば、適切な時間にドームを開いて撮影を開始してくれます。撮影中はクラウドセンサーで天候を監視し、天候が悪化した場合は、撮影を中止し、ドームを閉じて待機モードにはいります。その後、天候が回復した場合は、ドームを開いて再び撮影を開始します。
SOCは後処理も自動で行います。撮影したライトフレームに対応するフラットフレームの撮影、キャリブレーション(バイアス、ダーク、フラット補正)、仮コンバインまでを行います。
撮影準備
SOCを開くと、SDBで作成したデータベースが自動的に読み込まれます。まずポップアップメニューでターゲットを選択します。選択を助けるための付加機能として、ターゲットの高度、方位、月からの離隔がわかるようになっています。高度は、ポップアップメニューの右下に数値として示され、方位は、e<M42<s、s<M45<wのように方位を示す文字の間に表示されます。今、子午線通過の前か後かが一目でわかるので、これからどの位そのターゲットが見えているかを想像できます。月からの離隔に関しては、予め設定してある閾値以下に月がある場合は、@M42のように、ターゲット名の前に@がつきます。このマークが付いている対象は、撮影しない方が無難ということになります。
次にフィルター、露出秒数、枚数を決めます。R,G,Bフィルターで撮影する場合、それぞれのフレームでシーイングが一致しないと、ハローなどが発生し後処理で苦労することになります。また、途中で天候が悪化した場合、Rしか撮れなかったということも起こります。それを極力無くすために、RGBというモードがあります。たとえば、RGB 600s 2枚という風に選択すると、R->G->B->R->G->Bという順番で撮影してくれます。こうすれば、RGBの1セットが限りなく同条件で撮影できることになり、セット毎に取捨選択をすればよいことになります。天候が悪化して撮影が中止された場合でも、枚数は少なくなりますが、一応RGBをセットで取得することが出来ます。
右下の再計算ボタンをクリックすると、現在のプラン実行にかかるおおよその時間と、現時刻から薄明が開始するまでの時間を表示します。撮影可能な計画かどうかを判断することができます。晴れ続けていれば...ですが。
動作設定
SOCは、天文台の状態をObsNo(Observatory No)値としてコントロールします。天文台は以下の3つの状態をとります。
ObsNo=
【0】OFF状態: 電源OFF、ドームクローズ
【1】待機状態: 電源ON、ドームクローズ、架台パーク、CCD冷却
【2】可動状態: 電源ON、ドームオープン、 CCD冷却
右のダイアログをみてもらうと各動作の後に数字がついています。これがそれぞれの動作をするのに必要なObsNoを示します。Shot LightFrame(ライトフレームの撮影)を行う時には、ObsNoは、2になるという具合です。どんな組み合わせで動作を行わせても、その動作に最適な天文台の状態に自動的に設定されます。動作の実行は、Runボタンを押すことによりスタートし、下部のログウィンドウに動作ログが表示されます。同時にテキストファイルとしてもログが出力されるので、後で何が起こったかがチェック出来るようになっています。
ではそれぞれの動作について説明していきます。
「Dome Open」
ドームを開き、架台、CCDの電源を入れて冷却を行い、撮影の体制を整えます(ObsNo = 2)。2つのオプションを選択出来ます。
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開始時間:ドームを開く時間を指定できます。撮影開始時間も指定できるので、これを組み合わせることで、ドームを開いてドーム内の気流を安定させてからライトフレームの撮影を行わせることが出来ます。
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太陽高度待ち:太陽が適切な高度、つまり薄明が終わるまで待って動作を開始します。SOCは、現在の太陽高度を常に把握していて、これが薄明高度(-12度)以下になると、ドームを開きます。
どちらかのオプションを選択した場合は、天候セーフ状態が10分以上つづかなければ動作を行いません。安定して晴れている場合のみ動作を開始します。
CCDの冷却は、ドーム内気温を元に最適な温度を割り出します。-35℃、低い温度に設定していますが、このままですと、1℃刻みのダークライブラリーが必要になってしまうので、冷却温度は5℃刻みになるようにプログラムしています。また、現在温度から、いっきに目的温度まで冷やすのではなく、-10℃毎にインターバル時間を設けながら下げていきます。これはチャンバー内の結露を防ぐ為です。(除湿プラグが元気なうちは、このような冷やし方をしなくても問題は起きません)
「Shot LightFrame」
決められた撮影プランに従い、ライトフレームの撮影を行います。
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開始時間:ライトフレームの撮影開始時間を指定できます。
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AutoFocus:FocusMaxによるオートフォーカスを行います。フォーカスについては別項で詳しく説明します。
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Use MOAG:ガイディングをMOAGを使った外部ガイダーで行う場合にチェックを入れます。これによりガイドパラメーターが外部ガイダー用にセットされます。チェックを入れない場合は、インナーチップを使ったガイドになります。
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薄明Shutdown:その日の薄明時間を計算し、薄明開始で撮影がストップします。
実際の撮影では、指定したターゲットが設定高度(35度以上)に達していない場合は、高度が上がるまで待ち、撮影を開始します。また、撮影中に高度がそれよりも低くなった場合には、自動的に次のターゲットを撮影します。他のターゲットがない場合は、撮影を終了します。
撮影途中で天候が悪化した場合はドームシャッターを閉じ、天候が回復次第、再びシャッターを開け、撮影を再開します。待機状態のまま、薄明になり太陽高度が上がった場合には、完全にシステムをOFFします(ObsNo = 0)。