望遠鏡の温度管理、フォーカス、回転角
TCCは、RCOS望遠鏡の3つのパートを統合してコントロールします。主鏡副鏡の温度管理、2次鏡の移動によるフォーカシング、接眼部のローテーターです。この他にもTCCには、ヒーターなどに使う汎用の電源端子も用意されています。それらをASCOM準拠の専用アプリケーションでコントロールします。ASCOMに準拠していますのでMaxImDLやTheSkyなどからフォーカシングやローテーターのコントロールが出来ます。もちろん、COMですので自作ソフトからも簡単にアクセスできます。
フォーカシング
望遠鏡のページでも書きましたが、フォーカシングは副鏡を移動させて行います。あらかじめ、エクステンションチューブを組み合わせて設計的に正しい位置付近にカメラがくるようにしておきます。その上で副鏡を移動させフォーカシングを行います。副鏡を移動させることによって起こるかもしれない光軸のズレは、まだ経験していません。取り付け精度が高いのでしょうね。フォーカス位置は、一度電源を切っても保持してくれるので、連日の撮影であれば、フォーカスを取り直す必要はほぼありません。実際には、念のために撮影毎に(一日一度だけ)、取り直しています。
フォーカシングは、FocusMaxを使って行っています。これは大変すばらしいソフトですね。なぜこれがフリーなんでしょう。ターゲットを導入してからフォーカシングを行う場合、画面中央に星雲などがあるとオートフォーカスがうまく動作しませんが、それを避けて、近くにある明るい恒星を画面中央に導入し、フォーカシングを行ってくれます。また、FWHM(FocusMaxではHFD)の最低値を定義しておくと、フォーカシングした結果がそれに達しない場合は、以前のフォーカスポジションを採用することが出来ます。これは、シーイングが悪い時にとても有効です。
ローテーター
ローテーターは、その原点を決めるのがやっかいですが、これも星図マッチングソフトウェアーのPinPointを使って自動的に行われます。TCCの中にSyncユーティリティがあり、ボタンを一つ押すだけで、CCDで画像を撮影し、画像解析し、北極星を0度としたポジションアングルを算出、それをローテーターの現在の角度として設定します。こうして同期を取った後は、TheSkyなどのプラネタリウムソフトウェアーとリンクすると、正確な視野角を表示してくれるようになります。
温度管理
主鏡と副鏡の温度管理を行い、一定に保ってくれます。グラフによりその管理状態を見ることが出来ます。温度管理を行った場合と行わない場合との差ですが、実際のところ、あまりその効果を感じたことがありません。 鏡の温度による歪みよりもシーイングの影響の方が大きいのだと思います。ただ、副鏡にはヒーターが入っているので決して曇らないというのはとてもありがたい仕様です。
また、室内の温度を測るのにこのセンサーを使っています。この温度を元にCCDの冷却温度を決めています。外気温(クラウドセンサー)を元にすると、ドーム内の温度と開きがあるために、適切な温度が決定出来ません。特に昼間フラットを撮る場合、撮影中に室内温度が上がり、冷却パワーが100%になってしまうことがありました。よって、室内の温度からCCDの冷却温度を決めています。
余談ですが、現在フラットフレームを取るプログラムは、撮影中にも一定時間おきに室温を得て、設定温度を調節し直しています。こうすることにより、適切なパワー(70%程度)で冷却を行うことが出来ます。