ドームシャッターの開閉を外部からコントロールしたい!


 NEWSのコントロールソフトウェアーは、当然のことながらASCOMに対応していません。架台コントロールに関しては、MeadLX用のASCOMドライバーを使えばコントロール出来ますが、ドームコントロールに関しては、まったく打つ手がありません。そこで、ドームコントロールのみを行うASCOMドライバーを作りました。シャッターの開閉と架台のパーキング、トラッキングのON/OFFが出来るドライバーです。これは、NEWSコントロールソフトのEAL700に対し、タスク間通信を行うことで実現しています。つまり、実際にドームを開けるのはあくまでEAL700が行うので、信頼性はそのまま保持されます。



クローズドループ制御にするために


 そこでひとつ問題がありました。星居天文台のドームシャッターはNEWSから見るとオープンループ制御なのです。”2分間開け続ける信号を出したので開いているはず”、”2分閉め続ける信号を出したので閉じているはず”という仕組みでした。これはリモート天文台にとってとても危険な仕様でしたので、コンピューターからドームシャッターの状態を感知出来るようにしました。


 具体的には、K8055というI/Oが出来るUSBボードを使いました。僕のドームシャッターは、3線制御で、コモンに対して閉じるか開くかの電圧を与えます。そしてシャッターがリミットに達すると、リミットスイッチが働き、シャッターの電源を切ります。つまり、”開く”方向に電源を入れ、”電流が流れない場合は、開ききっていることを示す”ということになります。よって以下のように、ドームシャッターにリレー回路を追加しました。




<シャッター開閉感知リレー回路図>




ドライバーの開発について


 ASCOMドライバーを開発するのは、ちょっと聞くと難しそうですが、さまざまなテンプレートが用意されており、それを改良する形で作成しました。ただ、同時にK8055USBI/Oコントロールボードにもアクセスする必要があったので、少しだけコードを付け加えましたが、とても簡単に実装できました。

 本来は、ドームコントロールのみに特化すべきでしたが、架台のパークと、トラックのON/OFFもしたかったので、組み込んでしまいました。ASCOM標準のメソッドでは無いために、一般的なソフトから使われることはありませんが、自分のスクリプトからコールして使用しています。

 

<TCCハードウェアー>

望遠鏡の上にのっている中央の黒いボックスがコントロールハードウェアーです。ソフトウェアーUSBでここと通信します。

上がドームコントロールボックスの中です。ここに下の2つのリレーを組み込み、K8055 I/Oボードと接続し、ドームの開閉状態を認識出来るようにしました。

NewsDomeドライバーのコントロールダイアログ

現在のシャッターの状態表示と、トラッキングのON/OFFを設定できる。シャッターの開閉は、COMを通してスクリプトで行う。

シャッター開閉のリレーの状態を感知するためのI/Oボード