RCOS14.5” f/7.9 F2880mm
主望遠鏡は、広い視野にわたって良好な画像が得られるRCOS社のリッチークレチャン望遠鏡を選択しました。焦点距離が2880mmもあるため、シーイングの影響をかなり受けますが、像はとても優秀です。また、鏡筒がなく、トラス構造の為、外気温になじみやすく短い時間で安定した像が得られます。しかし、逆にいうと外光の影響を受けやすいので、満月期などは、フラット補正がうまくいかなくなります。
この望遠鏡は全ての機能(主鏡、副鏡の温度管理、フォーカシング)がASCOM準拠のドライバーによりコントロールが出来るので、リモート操作にはうってつけでした。 また、 望遠鏡自体の重さは29kgです。かなり軽く出来ています。主鏡プレートの裏面などは、ハニカム形状にくりぬかれており、この軽さもこの望遠鏡の良いところです。
フォーカシングは2次鏡で
特徴的なのがフォーカシングです。通常は接眼部を動かしますが、この望遠鏡は副鏡の位置を移動させます。 CCDカメラのチップ面がおおよそ望遠鏡の焦点面にくるようにセットした後、副鏡を移動させ、微修正を行うと言った使い方になります。確かに、重い接眼部を移動させることは、光軸の狂いにもつながるので、合理的な設計だと思います。
しかし、「焦点面付近にCCDチップ面を持ってくる」というのが、とても難しいのです。設計上の最適な位置(右上図で示された接眼部の焦点位置)から±1/8インチ(3.175mm)以下の位置に焦点がくるようにしろとマニュアルには書かれています。実際には±1/2インチ(12.7mm)までならばOKと言っているユーザーもいますが、誤差は小さいにこしたことはありません。この位置調整を行う為にさまざまな長さのエクステンションチューブが用意されていますが、なかなかぴったりにはきません。接眼部のアクセサリーを変える度にこの組み合わせを考慮する必要があり、この作業がかなり面倒です。
ローテーター (Precision Instrument Rotator)
接眼部全体を回転させる装置で、天体写真の視野を決める為もありますが、一番の目的はガイド星をガイドチップに導く為に使います。かなりトルクがあり、STL-11000M+αを軽々と回転させます。原点を0度とし、±180度以内で回転しますので、カメラに繋がっているコードがねじれてはずれる心配はありません。
フィールドフラッター
昨年からフィールドフラッターを導入し、使っています。これによってリッチークレチャンの湾曲収差がほぼ無くなりました。視野周辺まで点像の星像が得られます。もともとリッチークレチャンは、この補正レンズと組で使用されるべきものでしょうから、導入が遅すぎたかもしれません。小さな面積のCCDを使用するのであれば不必要ですが、35mmサイズのCCDには必需品です。特にモザイク合成を行うとするとこれがないと駄目ですね。この補正レンズは、ローテーター(PIR)の内部に組み込むことが出来るようになっていて、余計なバックフォーカスを消費しないのが、スマートに出来てきます。