「千と千尋の神隠し」やっと見ました。
もう、なんというか、すごくよかった。画面から監督や、アニメーターたちの良心みたいなものが伝わってきて、抜群でした。何がよかったのかって聞かれると困るんですが、その製作者の覚悟みたいなものが垣間見えました。
音楽もよかった。久石譲という人の懐は広いですよね。毎回新しいイメージを提示している。確かに同じ材料から出来ている部分も散見されますが、こんなさまざまなバリエーションの音楽を提供できるのはすごい。
上映が終わった後、こっちは、涙をこらえるのが精一杯なのに、後ろの若いアベックは、あまり感動していない様子。「ねえー、何をいいたのかわかった?」「いやー、でも宮崎さんのアニメってこんなんでしょ?」って言ってました。
歳を重ねてわかる感情があり、その部分で今回のこの作品は、子供を持った親の方がいろいろ感じる部分があるのかもしれない。宮崎監督本人は、「10歳の女の子の為に作った。」なんて言っていますが、監督の視点でいろいろなことが評価整理され、作品になっているのですから、結局は宮崎さんの視点になり、その感じ方や考え方は大人でないとわからないのだと思います。
僕は、自分の子供と見にいったのですが、彼らはそんなには感動してはいなかった。ちょうど12,3歳なので、監督のターゲットにぴったりだんだんですけどね。まあ、感動を表に出してなかっただけかもしれませんが...。それに引き換え、僕や妻は、えらく感動し、本当にどうやって涙を誤魔化すかに苦労しました。映画館を出る頃になってもその感動は止まらず、映画の中の1シーンを思い出しただけで、またジワッと来てしまう。いったい何がそんなに琴線に触れたのだろう。特別楽しい話でもなく、ものすごいメッセージが込められているようにも見えない。それなのに、こんなに感動する。本当に不思議な映画でした。
後日、この映画の本を見つけ、読んでみました。
そこには、実際の制作現場の状況がかかれていて、結構、しんどいことが沢山あったのだなーと、わかりました。映像の制作現場ですから、僕らがいつも直面しているような問題が同じように発生し、人と人との問題も起こっている。とても身近に感じました。特に、宮崎さんと作画監督のxxさんとの確執は、相当なものがあったようですね。監督が求める方向性と、作監の価値観が食い違いを見せ始めていた。そんな中で、あまり口も利かずに制作は進行していったそうです。そんな中で制作を行ったなんて、考えただけでも恐ろしい。でも、本気でクリエイティブなことをしたら、全部考えが一致する方がおかしい訳で、こういうことは避けられないことなんでしょうね。
しかし、さまざまな困難を乗り越えて、これだけのものを作り上げたのだから、宮崎さんという人はやはり只者ではない。
関わった全てのスタッフに僕の最大の賛辞を捧げます。
すばらしい作品でした。
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