惑星状星雲とは、星の一生の最後のひとつの形態です。
星はその質量により、その最後の形態が変わります。太陽の0.5倍〜8倍程度の星は、こんな最後を迎えます。
つまり、我々の太陽の最後の姿であるとも言えるわけですね。
星は、中心部の水素の核融合反応で輝いていますが、中心部の水素を使い果たすと、反応を起こす場所がその外側に移っていきます。このときコアにあるヘリウムはまだ核融合をおこす圧力に達していないので、引力によって収縮を始めます。するとそこに収縮による摩擦熱が生まれ、その熱によりコアの外側で起こり始めた水素の核融合はさらに加速されていきます。
この激しい核融合と表層により近い部分で起こるために膨張力が生まれ、星は肥大化していきます。大きく広げられた表層は温度が下がりはじめ、赤く見えます。これが赤色巨星です。こうして巨大化した恒星の表層は、中心部からの距離が離れたことにより、自身の重力の影響が弱くなって、周囲の空間に解き放たれていきます。このガスが中心星の紫外線で輝いているのが惑星状星雲です。
一方、中心核はどうなるかというと、収縮したコアは圧力が高まってヘリウムの核融合反応が始まります。すると内圧があがりコアの収縮が止まるので、外層で水素の核融合をおこしている層への熱供給が下がり、表層の膨張が止まります。つまり、コアの核融合の熱よりも重力収縮ででる熱の方が大きいということですね。
しかし、このヘリウムもしばらくすると燃え尽きて、今度はヘリウム外層の核融合が起こり....といった感じで繰り返し反応が進んていきます。つまり、星が脈動しているように、大きくなったり、少し止まったりしながら反応が進んでいくわけです。惑星状星雲を構成するガスは一度に拡散するのではなく、この脈動のリズムに合わせて多くなったり、少なくなったりしながら空間に広がっていくことになります。このため、惑星状星雲は幾層にもなるリング状の構造を持つのでしょうね。
コアの核融合ステップは、核融合で出来たより重い元素を燃料としてつぎつぎに進んで行きますが、その反応が起こるのに必要な圧力が得られなくなるところで、反応はストップします。圧力はそのコアの質量で来まるので、星の質量が最後の姿を決める要因になります。
エスキモー星雲は、この表層の遊離が3度くらいに分けて、起こったのでしょうか。 中心に明るいエリアが見え、その外側にリング状のガス、さらに外側にはハッキリした形を持たない外層があります。これは水素ー>ヘリウムー>炭素の息継ぎが起こったってことでしょうか。
直径が1分もありません。0.8分です。なんと小さい対象でしょう。
10km先にこいつがあるとしたら、直径2.3mの球体を撮ろうとしているのと同じです! しかもその表面の模様まで写そうというのですから、とんでもないチャレンジです。
まずは、最良のシーイングの日を選び、良い画像だけを使うこと。しかし、これだけでは大した解像度を得ることは出来ません。大事なのは画像処理です。画像復元という手法を使わない限り、このページにあるような画像にはいたりません。しかし、この画像はすこし復元処理のやり過ぎですね。ありえないパターンが現れ始めています。
しかし、基本的に明るい天体ですから光害なども関係ありません。小さい天体ですから背景の傾斜があってもこれも問題になりません。ひたすらシーイングの良い日を捕まえることだけに集中出来れば、素晴らしい画像を得ることが出来るハズです。(あと、なるべく口径の大きな望遠鏡が必要ですね)
<オリジナルを2倍に拡大した画像>
この脈動だけでなく、放出された物質の密度分布の傾き、恒星表面上で均等ではない膨張力など、さまざまな因子により同じ時期に放出されたガスであっても複雑な構造が生まれます。惑星状星雲が、どれ一つとして同じ形状にならないのは、星が個性を主張しているように見えて面白いですね。