銀河には、美しい均整のとれた銀河と、どうもいびつで不格好な銀河があります。
美しい銀河は、力学的に無理がない形なのだと思います。そうでないものはバランスが崩れ、大変動の真っ最中なのでしょう。
その点、この銀河NGC7331はとても美しい。全体の形状といい、暗黒帯といいほぼ満点。こちらとの向き、つまりカメラアングルも良いです。銀緯方向の傾きがこれ以上だとM64のようになってしまうし、もう少し銀緯0度に近づくと、エッジオン銀河になってしまう。その中間の絶妙なアングルになってます。
また、おまけとしてわずかに右腕が銀緯の上方向に引っ張られている。何かの力が加わった結果でしょうが、このわずかな傾きがさらにこの銀河をダイナミックに見せていますね。
というわけで、今まで僕が撮った銀河の中では最高に美しい銀河だと思います。
かなりシャープに撮影することが出来ました。もう少し周辺を出したかったのですが、この素材ではこのあたりが限界かな。
シャープさを狙う場合、処理の初期段階では、わざとシャープにしないようにしています。シャープにするとSNが悪くなり、一度SNが下がるとそれを上げるのは不可能だからです。ノイズ除去フィルターやそれ専用のソフトがいろいろありますが、それらは確実に解像度を落とします。一見、落ちていないように見えても、微細なディティールが別のものに変化してしまうのです。よって、処理の初めはSNを大事にするようにし、処理が最後に近づいていったら解像度を求めるようにしています。「シャープ系のフィルターを使うのは、一番最後」僕はこれを鉄則にしています。
どこまで暗い部分を描写するか、どこまでメリハリのある画像を求めるかということも同様です。メリハリを出すということは元画像のダイナミックレンジを狭めることになるので、処理の初めでは無理にくっきりした画像にするのではなく、なるべくねぼけた画像、ダイナミックレンジを広くとった処理を心がけています。