中央に見える巨大なバブル。泡の表面はシャボン玉の膜よろしく微妙な濃度の差があり、時間を縮めるとめまぐるしく動いていそうです。きっとシャボン玉のように見えるのだろうと思います。
バブルの中にある明るい星(BD602522 又は SAO20575)は、この写真からはわかりずらいが実際はブルーの星です。太陽の40倍の質量を持ち何十万倍もの明るい光を放っています。ウォルフ・ライエ星という分類の星で、星の人生の最終段階(ヘリウムの核融合段階)にさしかかった青色巨星。通常の青色巨星よりもエネルギーの放出が激しく自分の外層を吹き飛ばしてしまったものです。この星の吹き飛ばされた外殻と強い恒星風がこのバブルを作ったと言われています。
そこで疑問。であるならば、なぜこの星がバルブの中心にないんでしょうか?
その答えは、放出物が広がって行く前の星間ガスの密度差だそうです。左側の密度は低く、右側が高かった為に外殻の広がっていくスピードに差を与え、このようにセンターがずれたと思われています。バブルの右外側にある輝星星雲の構造をみても、このあたりはガスの密度が高そうなのがわかりますね。
ウォルフ・ライエ星は、その質量から考えてやがて超新星爆発を起こすと言われています。壮大な宇宙ショーが繰り広げられるでしょう。
本当に淡い星雲です。バブル周辺はまだしも、その外側は本当に暗い。処理によってはもっと周辺部を出すことも出来ましたが、今回はバブル近辺を優先しました。
なかなかシーイングの良い日に恵まれず、解像度的にはいまいちです。この対象を撮り出したのが遅かったので、日が沈んでから早い時期に狙う必要がありました。那須は、日暮れから数時間は雲がでることが多く(8、9時位からはまた回復するのですが)、なかなか良い条件に恵まれませんでした。もう少しバブル表面の複雑な模様を出したかったのですが、いずれ再挑戦したいです。