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 23week  2001/6/4 〜 6/9

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今週の仕事
6月4日(月) 先週、行ったCanonさんへのプレゼン映像製作。今週も、その作業が続いています。プレゼンが金曜日に伸びた関係で、それまでの時間を目いっぱい使って、追加画像を作ろうということになりました。夜は、その打ち合わせ。

こういう静止画を作る仕事も結構面白いです。
ずっと、アニメーションを前提にもの作りをしてきたので、どんな角度から見ても破綻しないように、とかいろいろ考えるのですが、静止画の場合は、その”絵”ができればいいだけですから、いろいろなテクニックが使えます。一番いいのは、描けること。どうしてもだめだったら、描いてしまえばいいんですからね。

 

しかし、これが正式受注となり、アニメーションをすることを考えると気が重いなあー。作れなかったりして...。動画の場合は別の方法を考えないと。

 

 
6月6日(水)

この日の夕方、ビジョンユニバースさんで、Natiolnal掃除機のCM打ち合わせ。昨年のCMで作成したモデルの一部作り直しをしなければなりません。今週金曜日までに納品。最近、新作のCMの仕事がない。ほとんどが、昨年の一部作り直し。CMの制作費が削られてきているのだろうか?

 

 
6月8日(金)

Canonさんのプレゼン当日。僕が行ったわけではないので、なんとも言えませんが、聞くところによると、競合相手はプレゼン用にボードを作ったりして、大掛かりだった模様。でも、こちらも、僕らが作ったCGをパワーポイントにして、コンピューターで見せたそうです。新しいイメージのCGに対して興味を示してくれたようで、その点はよかったです。...結果は、来週出るそうですが、どうなることやら...。

この日、掃除機のCMも納品し、今週は土日をゆっくりと休めるなと、会社を後にしました。

 

 
6月9日(土)

娘の体育祭があり、朝9時から中学校へ。実は、この学校、僕が25年ほど前に卒業した母校。そして、もっと驚くことに、その時お世話になった先生が、まだ現役で教えているんです。もちろん他校を転々として、たまたま、現在はここに戻ってきたのだそうですが、初めて知った時はびっくりしました。

その先生と会ってしばらくすると、携帯電話が鳴り出しました。ハットさんからの電話です。 昨日納品した、CGを一部直して欲しいとのことでした。

すぐに吉田くんに電話を入れ、自分も自宅に飛んでかえり、会社に出社しました。しかし、夏を思わせるような陽射しの体育祭の会場で、監督の岩本さんと話をするのは、不思議な体験でした。

変更作業は、すぐに終わり、吉田くんの車で、ビジョンさんへ。


国会議事堂前を六本木方面に向かうところ

ちょっと、道を間違えましたが、無事に納品することができました。...やれやれ。

 

 


ライブカメラが今週から3台に増えました。
前から、カメラ自体は買ってあったのですが、なかなか時間がなく、先延ばしになっていました。

3階に2台、5階に1台の計3台です。
ライブカメラページはこちら→


3階のオフィスのカメラ位置。この位置から撮ってます。


Camera1のアップ


こちらは、5階のオフィス。サラウンドスピーカーの上に乗ってます。
ちなみに、お客さんが来られた場合は、許可をとるか、止めるかしてますので...。

といってもまだ、試験期間中。
このシステムは、Windowsマシンで稼動しているのです。WindowsマシンにUSBでカメラをつなぎ、画像を送っています。だから、ホストとなるWindowsマシンの電源がONになっていて、なおかつ、カメラソフトを動作させないと、画像がアップされません。そのWindowsマシンも専用の物を使っているのではなく、皆が仕事に使っているコンピューターを使っていますので、都合によってライブカメラが動作したり、しなかったりということになってしまっています。

また、このカメラソフトですが、バグがあるらしく1日程度動かしつづけると、ファイルのアップロードがうまくいかなくなり、フリーズしてしまうのです。

このような問題を解決すべく、単独で動作するカメラを物色中。
多少高くなってしまいますが、やってみようかな?と思っています。だって、面白いですよね。こういうの。...そこまでカメラが整備できたら、正式運用開始としたいと思います。

 

ライブカメラ
 


最近、DVD-Rドライブが発売になったりと、普及の兆しが見えるDVDですが、いろいろなフォーマットが乱立し、一見混乱しているように見えます。DVD-R、DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RWと、さまざまなフォーマットがありますからね。

しかし、実際はそうでもありません。表にまとめて見ました。

物理フォーマット DVD-R DVD-RW DVD-RAM DVD+RW
ファイルフォーマット
UDF
容量
3.9G
4.7G/9.4G 3.9G
書き換え回数 1回 1000回 100000回 1000回
DVDプレイヤー再生 X 注)
注)DVD-RWであっても、シーケンシャルライトで書き込めば、DVDビデオプレイヤーでも再生することができます。
*DVD+RWは、2001年6月現在まだ製品はありません。

物理的なフォーマットには、これだけの種類がありますが、メディアフォーマットは1種類。よって、コンピューターで全てのフォーマットが一元的に読めます。DVDビデオプレイヤーで再生できるDVDに、データとして、簡単にビットマップの画像データを別ファイルとして持たせることは簡単なんですね。試してみてください。コンピューターにDVD-ROMドライブが付いている必要がありますが、市販のDVDビデオをWindowsコンピューターで見ると、”VIDEO_TS”と名づけられたフォルダーが一つ見えるはずです。DVDビデオの規格は、この名前のフォルダーの中に、決まりに則ってファイルを保存しているだけなんですね。よって、別のフォルダーを作り、そこに、画像データや、PDF書類、アプリケーションなどを、入れることができます。仕事的に言えば、DVDビデオとして納品し、そこで見た映像を資料として、自分のプレゼンにも簡単に使えるという仕組みが簡単に作れます。フォトショップのレイヤー画像ファイルとして入れておいてあげれば、使い勝手もいいですよね。こんな使い方を提案できれば、今後は、間違いなくDVDが主流になっていくのではないでしょうか?

ちなみに、DVDの規格は、DVDフォーラムという団体によって決められていますが、DVD+RWだけは別。ソニー、フィリップスを中心とした数社により決められたものです。この規格の売りは、インクリメンタル形式で書き込んでも、DVDビデオプレイヤーで再生できること。...話が、わかりづらいですが、DVD-RWには、書き込むモードが、シーケンシャルライトとインクリメンタルライトの二通りあり、インクリメンタルライトで書き込んだ場合には、DVDビデオプレイヤーで再生することができなくなります。通常、DVD-RWは、インクリメンタルライトで書き込まれる使われ方が多いでしょうから、「DVD-RWは、DVDビデオプレイヤーでの再生はできない。」と言うことになるわけです。その点、DVD+RWですと、このインクリメンタルライト方式をとっても、DVDビデオプレイヤーで読めます。ややっこしいですが、「DVD-RWらしい使い方をすると、DVDビデオでプレイヤーでは、再生できなくなるが、DVD+RWであれば、再生できる。」ということです。DVD-RWでは、データの繋ぎ目にリンクブロックという情報が書き込まれますが、DVD+RWでは、これを書き込まずに済む構造のためにこのような利点が生まれるのです。

DVD-RAMは、表を見てもらえばわかるように、圧倒的な書き換え可能回数を誇っています。もともと、コンピューターのデータを保存するために考えられた規格ですから、このようなスペックを持っているんですね。エラー訂正機能も、他のフォーマットより1桁性能が上です。ライブでも、サーバーデータのバックアップに採用を決めました(ただし、ドライブの発売は7月10日)。

大事なのは、コンピューター上で、どのフォーマットのDVDドライブが一番普及するかどうかです。現在装着が進んでいるのは、言うまでもなくDVD-R,DVD-RWが読めるDVD-ROMドライブですね。それにDVD-RAMが続きますが、台数的に行ったら比較にならない位でしょう。しかし最近、松下がDVD-RとRAMの両方を読み書きできるドライブを発表したりしてますので、これからは増えていくかもしれません。こういうコンボドライブ(複数の機能を持ったドライブ)を開発するにのは、読み書きをコントロールするチップを変えるだけで済むそうで、光ピックアップ自体は同じものでいいそうです。松下はこのチップを今後安価に提供するそうなので、DVD-ROM、DVD-RAMの両方が読めるドライブも増えていくかもしれません。

昨年もPS2発売の際に、「今年は、DVDがブレイクする。」なんていってましたが、今年こそ、普及するのでしょうか?

 

DVD規格

 


車の話になりますが...
世の中にあふれている車は、そのディメンジョン(パーツの配置、縦横比など)によって、ほぼその性能が決まるそうですね。

たとえば、エンジンをフロントに持っていって、フロント駆動にすれば、室内のスペース効率が良くなり、有能な小型車になる訳です。カローラ、シビック、マーチ、ゴルフ、ポロ、ミニなど、普通の小型車はほとんどがこのFF形式です。

しかし欠点として、フロントが重くなり、有効なブレーキングができなくなります。だれでも経験していると思いますが、自転車で、ブレーキをかけた時に、後輪ブレーキを強くかけてもなかなかすぐには止まれません。ブレーキングによって、重心が前方に移動し、後輪が浮きかけているからなんですね。「浮いていたって、前輪でブレーキをかければ同じでは?」と思うかもしれませんが、前輪の2つのブレーキパッド&タイヤで殺せるスピードには、限度があります。また、後輪が浮いていますから、道路にデコボコがあったら、後輪はとんでもない方向にジャンプし、安定を失ってしまうでしょう。

仮に、燃料タンクなどの配置を工夫し、前後の重量比率が、50:50になったとしても、完全じゃないんですね。静止状態の前後比率はよくても、ブレーキング中の動的重量配分は、かなり前よりになっているからです。「もっと重りを積んで、後ろを重くすれば...。」と思うかもしれませんが、今度は、車が重すぎて走りません。

じゃあ、今度は、後ろにエンジンを持ってきて、後輪駆動としたらどうでしょう。

この形式をRRと言いますが、今度は、リアヘビーとなり、静止時には、後ろの方がずっと重くなります。ビートル、ポルシェ911などがこの形式で有名ですね。この形式は、スペース効率がよかったので、初期の小型車には、随分使われていました。スバル360などは、この典型です。

RR形式にすることによって、ブレーキング時の重量配分は50:50に近くなり(スピードにもよりますが)、ほぼ理想的なブレーキングを行うことができます。4つのタイヤとブレーキディスクに、しっかりとスピードを殺す力が分配されます。また、車の姿勢も前のめりにならず、地面と車体が平行を保ったまま沈み込み様に安定して減速していきます。

しかし、この方式にも欠点があり、リアの駆動軸の後ろにエンジンという重量物があるおかげで、いったん後輪がスライドをはじめると、すぐにスピンです。レーシングカートなどは、この特性のおかげで、シビアなハンドリングが要求されます。例としてあげたスバル360などがこの形式を捨て、FFとして進化していったのは、このような問題があったからだと思われます。つまり、道路を曲がる時にスピンするなどの事故が相継いだのでしょう。ビートルやポルシェ911も例外ではなく、発売直後には、この安定性のなさがかなり問題となったようです。特に、スピードが高かった911は、深刻だったようです。

話は、横道にそれますが、911は、今も残っています。
が、本来は消えていくべき形式だったんでしょうね。現に、ポルシェは、GT以外のレースカーでは、例外なくミッドシップを採用しています。しかし、それが”名車”と呼ばれるまでになったのは、RR駆動による加速のダイレクト感。フロントが軽いことからくる回頭性のよさ。また、すぐスピンに陥る特性を抑えて乗りこなす面白さ、などがマニアにうけたのでしょうね。

こうして、理想の運動能力を持つ形式は、ミッドシップ(MR)となるのです。

エンジンを車の真中(実際は、後輪のすぐ前ですが)に置き、FFとRRの良さを両方生かそうとするものです。ミッドシップと言っても、静的な重量配分は、かなりリアよりなっていますので、4輪が同時に沈み込んでいく、すばらしく安定したブレーキングフィールが得られます。また、フロントが軽く、回頭性にも優れますが、RRほどの過激なスピン特性は持ちません。言うまでもありませんが、F1はみんなこの形式です。

さて、長々とCGとは関係ない話を続けてきましたが、僕が言いたいのは、車が力学に支配されているように、我々のやること全てが、ある自然法則に則って決定付けられている。と言うこと。会社を始めて5年目になりますが、最近、そんな大きな力があることを実感しています。

例えば、あなたがCGに携わっているとして、この先、どこまで伸びていくことができるか?を考えましょう。「自分のもって生まれた才能がどこまであるかわからない。」ですって?...いえいえ、そんなもの関係ありません。生まれつきの才能なんてないんです。どのような環境に自分を置くのか?置いてきたのか?という選択行為によって、才能と呼ばれるものが生まれてくるんだと思います。”Maxのオペレーションを勉強しよう”なんて選択肢は、とても小さなもので、もっと大きな選択が、日常行われている筈です。もしかしたら、「昼ご飯に何を食べるか?」の方が、未来への価値は大きいかもしれない。

その日常の選択一つ一つが、FFにするか、RRにするか位の大きな岐路だっていうことにほとんどの人は気がつかない。そして、その結果がでたあとで、「私には才能がなかった」なんてことになるのです。逆に言うと、間違った道に進んでしまったら、どうあがいても、その道の上限を超えることはできない。FF車をどんなに磨き上げてもF1のレーシングカーにはならないのです。

今、僕自身が、この分かりにくい岐路に立たされている気がします。

うちは、”レースに勝つことが正義である。”という理念で会社を進めてきました。”レースに勝つ”とは、いろいろなレベルがあると思いますが、基本的には、作った物がお客さんに認められ、喜ばれること。そして、より深く、より沢山の人たちに認められようとがんばってきたわけです。しかし、今の会社の枠組みでは、もう限界が見え隠れしているのが事実。経営者としては、ここで大きな一手を打つ必要性を感じています。

しかし、一方で、RRを磨き上げたポルシェが911というブランドを作ったように、その目的を”レースで勝つこと”以外に置いた場合は、話が変わってきます。レースに勝つのではなく、味わいを求めるのであれば、RRだっていいのです。RRには、すばらしいトラクション感覚がある。後輪が1ミリも空回りすることなく、まるでギアのように路面を蹴り出す感触は、RRでなくては作れないでしょう。世の中、全員がレースに勝つことなんてできないんですから、こういう方向性だってあるでしょうね。諦めではなく...です。仮に、もっと大きな規模のCG製作会社になれたとしても、そこに喜びがあるかどうかは別問題ですしね。

こうなってくると、もう社長の人生観しか決め手はない。
ここ1、2年の間に自分がとる決断が、ライブの未来を決めてしまうと思うと、ほんと、身の引き締まる思いです。