木曜日、Sonyの「プロフェショナル機器内覧会2001」に、行ってきました。
会場は、東京モノレール(羽田線)の流通センター。ここは、CG黎明期にニコグラフが開催されていた場所です。今はもうニコグラフ自体もなくなってしまって、時代の流れを感じますね。
さて、ここに行った目的は、今話題の”HDCAM 24P”システム(”CineAlta”と呼ぶそうです)。
Panavisionと提携し、”スターウォーズ”では、今後フィルムは使わず、このシステムで行うということですから、そのクオリティは確かなものなんでしょう。
“HDCAM”デジタルビデオカセットレコーダー『HDW-M2000』 650万円
会場について、HDCamの画像を見てみると、さすがに精細。気持ち悪い位です。
単に解像度が上がっただけで、こんなにも映像の見え方が変わるんですね。初めてベースバンドのアナログハイビジョンを見たときの驚きが蘇ってきました。録画・再生デジタルデッキも650万円と、デジベと同程度の値段。以前から比べると、手の届くところまで降りてきたって感じですね。
考えてみれば、CGというのは、解像度無制限です。
いつのまにか、720x486というサイズが頭の中で、固定になってしまっていますが、HDサイズだって可能なんですよね。HDで動くCGは今までにも何度か目にしたことがあると思いますが、確かに、D1(720x486)と比べると、格段にデジタル臭さが少なくなりますよ。ピクセルとか、ジャギーなどが、その解像度(ppi)<注>のおかげで、ほとんど気にならないからでしょうか?
<注>dpi と、ppi の違いって知ってますか?
dpiは、”ドットパーインチ”。1インチに白黒のドットがいくつ並ぶか?ということ。
対してppiは、”ピクセルパーインチ”。こちらは、1つのドットが色を持っている場合に使う、解像度単位なんですね。インクジェットプリンターの解像度表記を良く見ると、dpiが使われていますが、実際には、複数のドットで1色を現しているわけですから、本当のカラー画像の解像度は、それより低いものになります。
他の展示を見ようと、会場をいろいろ歩き回りました。
そしたら、あるわあるわ...。知らないフォーマットがいっぱい。ベーカム、デジベなどは、お馴染みですが、他にベータカムSX、MPEG IMXなど、主に報道用のフォーマットという物があるんですね。ベータカムSXは、何とか知っていましたが、MPEG
IMXというのは知らなかった。
マルチフォーマットプレーヤー『J-3』
アナログベータカム、ベータカムSP、デジタルベータカム
ベータカムSX、MPEG IMX、の再生が可能
で、質問すると、「MPEG IMXは、デジタルベータカムとSXとの間を埋めるものです。」という答え。率直に言って、”なんで、埋める必要があるの?”って感じです。この3つは、共にデジタル記録をするフォーマットで、違いは、その転送データ量。一秒間に何メガバイトを記録していくか?ということです。それと名前どおり、MPEG
IMXは、圧縮方法としてMPEGを採用し、50Mbpsだそうです。間を埋めるというよりは、これからのインターネットストリーミングを狙っているんでしょうね。
世の中の画像形態は、数年後には、”放送局→電波→テレビ”ではなく、”ストリーミングサーバー→インターネット→コンピューター”ということになっているのかもしれません。この進化がもたらすパラダイムシフトは、とんでもない...まさに文化を変える力を持っていると思います。まず、自分の好きな時間に番組を見ることができる。オンデマンドですね。ということは、過去に見た映像も自由にに引っ張り出せるわけで、ストリーミングサーバーは、巨大な動画データベースとなるのではないでしょうか?
これを見るコンピューターも、その頃にはコンピューターという名前では呼ばれない位、違った形のものになっているはずです。電話機が携帯電話になったように、コンピューターもノートブックを経てPDAサイズのデバイスとなり、最後には携帯電話と合体するのかもしれません。古くは、アップルのナレッジナビゲーターからNTTドコモの2010ビジョンまで、似たような端末が出てきますよね。液晶がペーパーディスプレイになり、CPUの消費電力が減れば、可能になるかな(AI機能を除いては...)?
こういう観点から見ると、NTTドコモ”FOMA”の方向性は間違っていません。現在は、テレビ電話としての使われ方ですが、いずれはストリーミング放送を受けるテレビ端末ということになるはずです。しかも、単なる動画放送を受けるだけではなく、PDA機能を持ったコンピューターですから、いろいろなことが出来るようになるでしょう。
そんな時代になったら、CGはどうなるか?
そうです。リアルタイムCGとして、いろいろなコンテンツ、またはインターフェースとして使われているはずです。3DCGとして動画を送るのではなく、3Dデータを送り、端末側でリアルタイムに演算表示するのが普通になるでしょう。
.CG屋は、その頃何をやっているのでしょうか?
...だからこそ、ライブはリアルタイムCGの技術を身につけたいと思っているのです。
|