今年から分業制でCG制作を行っていくという宣言どおり、今年になって制作を開始した作品に関しては、モデリング→質感付け→アニメーション→レンダリング→仕上げという工程に分けて作業しています。予想通りというか、やってみると良い点が沢山出てきています。
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まず、それぞれの担当者がその内容だけに集中して作業ができるので、精神的な余裕が生まれる。例えば、モデリングを例にとると、今まではモデリングをやりながら質感付けやアニメーションのことを考えなければならなかったので、本当のモデリングに集中出来ていなかった側面があったわけです。特に、まだ経験の浅い人たちにとってそれをさせるのは酷な面もあったでしょう。
それが、今度は、目の前のモデリングという作業に集中すればよくなったわけですから、余裕が生まれる。後はこの余裕(空いた時間)を、良い方向に使ってくれればよいと思います。モデリングをより深く、より良くなるように考え、質の向上を図ってもらえれば、今まででは実現できなかったような仕上がりが期待できます。
そして、こうして作られたモデルデータを、次の担当者である質感付けを行う人に渡します。この『他人に自分が作ったものを委ねる』ということは、見過ごされがちですが、とても大切。ここで、完全に個人作業でないという現実を認識できる。そして、質感付けをしてくれる人に対して作業しやすいように、データを作る必要が出てきます。対人間関係になるので、心構えも違ってくるはずです。「問題が起きたら後で直せばいいや。どうせい自分でやるんだから...」という考え方が通用しなくなってくる。代わりに、「テクスチャーを付ける人に、迷惑にならないようなデータを作らなければならない。」「変な作り方をしていたら、笑われてしまう。」などなどの意識が出てくるハズです。
つまり、こうして作業を区切ることにより、データの品質をチェックするゲートがいくつも出来ることになります。しかも、そのゲートのチェック機能は、分散処理で、ある一人の人間に頼る必要もなくなる。皆、それぞれがチェックを行うことになるので、僕からしてみれば手間要らずです。
また、次の工程である質感付け担当者は、モデリングの人に対して、「さすが...」と思われるような仕事をしないといけない。そしてモデリング担当者は、質感付けが終わった画像を見て、質感付け担当者との信頼関係を築く。お互いがプロフェッショナルとして、認め合い、プライドを持って仕事ができる好循環が生まれるのではないかと思っています。
やっと、この歯車が回り始めた気がします。
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